子どもの​靴の​サイズの​選び方​——​「​大きめ」は​何センチが​目安か

出典12件・すべて一次情報にリンク

子どもの靴とものさしの線画イラスト

子どもの靴を買うとき、迷うのは数字です。実寸より大きめを買うのか、大きめなら何センチか。

先に結論を書きます。日本の靴の表示サイズは、靴の内側の長さではなく、その靴が合う人の足の長さを表しています。一般歩行用の靴のサイズを定めた JIS S 5037:1998 が、「サイズは,足長と足囲又は足長と足幅で表し」と規定しているためです。なお、規格の条文につま先の余裕(捨て寸)の数値を定めた規定は見当たりませんでした。その分は、靴を作る側が織り込んでいる前提になります。

決め方は、この順番から始めます。

  1. 足の長さを測る
  2. その数字と同じ表示サイズから試す(表示が足の長さを指す以上、そこに0.5〜1cmを足すと余裕が二重になります)
  3. 履かせて、本人に聞く
表示サイズの意味を示す図。上段は足の長さ20.0cmに表示サイズ20.0cmの靴を合わせた形、下段は実寸に1cmを足して21.0cmを選んだ形
表示サイズが「その靴が合う人の足の長さ」である以上、実寸に1cmを足すと、余裕を二重に足す形になります。図の「設計上の余裕」は関係を示すためのもので、寸法の目安ではありません。

表示サイズは​「足の​長さ」​——だから​足さない

JIS S 5037:1998 は、足長を「かかとの後端[しょう(踵)点]から最も長い足指の先端までの距離」と定義しています。測る姿勢は「平らで水平なところに直立し,両足を平行に開いて平均に体重をかけた姿勢」。1998年に発行され、2024年10月21日に確認された、現在も有効な規格です。

ただしJISは任意の規格です。すべての子ども靴がこの表示に従っているとは限らず、同じ数字でも表示の基準が違う場合があります(日本以外の表示方式が何を基準にしているかは、公的な規格の原文までたどり着けませんでした)。織り込まれている余裕の量も、製品によって違います。だから3番目の「履かせて確かめる」が残ります。

「0.5〜1cm大きめ」という数字の出どころも探しました。学会や公的機関の資料には行き着かず、見つかったのは靴のメーカー・販売店・育児メディアのページでした。根拠が見つからないことと、間違っていることは別です。ただ、表示が足の長さを指す以上、そこに足す前提で選べば、余裕は二重になります。

では大きすぎると何が起きるのか。これを測った研究は、ほとんど見当たりませんでした。走ったとき、転んだとき、長く履き続けたときにどうなるかを調べたものには行き着いていません。「大きめでも支障はない」とも「支障がある」とも言えない、というのが現在地です。測られていないことは、支障がないことの根拠にはなりません。大人のシューズでも順番は同じで、ランニングシューズの選び方では「用途を決める、履いて確かめる」の順に整理しました。

「つま先の​余裕は​1cm」の​出どころ

では、余裕は何ミリが妥当なのか。子どもと青年向けの靴の推奨を14件集めたレビューには、「つま先の余裕に関する指針は5mmから17mmまで幅があった」「大半の推奨は実証データではなく専門家の意見に基づいていた」と書かれています(Hughes ほか, 2025)。

つま先の余裕として勧められている値は、5mmから17mmまで幅があります。内訳は次のとおりです。

推奨元勧めている余裕
González Elena ほか5〜12mm
Kinz ほか/英国 Royal College of Podiatry10〜12mm
Alfageme-García ほか10〜15mm
Walther ほか17mm(固定値)
レビュー全体の幅5〜17mm

この幅は「5〜17mm空ければよい」という意味ではなく、専門家によって勧める値が違う、という意味です。幅(横方向)は最低10mmという推奨が示されています(González Elena ほか)。出典: Hughes ほか, 2025

日本でよく見る「1〜1.5cm」に最も近い記述は2024年のレビューにあります(Alfageme-García ほか, 2024)。ただし根拠として挙げられた3件は1980年・2000年・2015年のスペイン語圏の総説・実務誌で、測定に基づく一次研究であることを確認できませんでした。

出どころを気にするのには理由があります。子どもの足の測り方について英語圏のネット情報を調べた研究では、情報の54%が靴のメーカーのページで、専門職の団体によるものは4.2%でした(Price ほか, 2020)。だからこの記事も、最初にすることを「買う」ではなく「測る」に置いています。

家で​足の​長さを​測る

先ほどのJISの定義は、家庭でもそろえられる条件です。紙とものさしで足ります。

家で足の長さを測る3つの手順。紙の上に立つ、かかとと最も長い指に印をつける、その間をものさしで測る
手順は、JIS S 5037:1998 が定める足長の姿勢に合わせたものです。家庭での測り方そのものを検証した研究には行き着けなかったため、「正しい測り方」ではありません。
  1. 紙を床に置き、その上に立たせる。座らせない
  2. 両足を平行に開き、体重を両足に均等にかける
  3. かかとの後端と、いちばん長い足指の先端に印をつけ、その間を測る

いちばん長い足指は、親指とは限りません。左右で長さが違うこともあるので、両足を測って長いほうの数字を使います(スペインの学童505名の調査でも、長いほうの足を測っています。González Elena & Córdoba-Fernández, 2019)。

8歳前後の277名の足を、3つの方法で測り比べた研究があります(Mueller ほか, 2023)。測り方が違うと、足の長さは3〜6mm変わります。いま話している「余裕5〜17mm」と同じくらいの幅です。1mm単位の精度を追うより、やり方をそろえて前回と比べるほうが実用的です。

測る対象には、上履きも入れてください。日本の就学前の子どもを調べた研究では、外で履く靴の75.5%(620名中)、上履きの84.6%(381名中)が、足の長さに対して短かったと報告されています(Kinz ほか, 2021)。就学前の子どもが対象で、小学生の調査ではありません。「短い」の基準は研究ごとに違うため、他の調査の割合と横に並べることはできません。ある一時点で測った調査であり、靴が原因で何かが起きたことを示すものでもありません。

最後は本人に聞きます。8〜12歳の14名が3種類のサイズを履き比べた実験では、子どもは足の長さに合っていない靴を自分で見分けられました(Matthias ほか, 2021)。一方、1〜12歳の23名への聞き取りでは、子どもは「快適」を「柔らかさ」とほぼ同じ意味で使っていました(Price ほか, 2021)。「きつい」「当たる」は聞く価値がありますが、「これがいい」はサイズの判断材料になりません。

なお同じ実験では、垂直跳びと立ち幅跳びの記録が、靴のサイズによって変わっていませんでした(14名の実験なので、差がないと決まったわけではありません)。走ったときの記録とフィットを比べた研究には、行き着けませんでした。サイズを合わせれば速くなる、という話ではありません。速く走ることに関心があるなら、かけっこの姿勢運動会までの練習の並べ方のほうが先です。

買い​替えは​「間隔」ではなく​「測って」​決める

小学生が何か月ごとに買い替えればよいかを測った研究には、行き着けませんでした。前向きに追いかけた研究は1990年の1本で、対象は1歳から5歳の107名でした(Gould ほか, 1990)。

学童1,005名を測った調査では、足の伸びが速くなる時期は女子で7〜8歳ごろ、男子で8〜9歳ごろに始まったと報告されています(González-Elena ほか, 2021)。ある一時点で測った調査で、同じ子を追いかけたものではありません。

間隔の数字がない以上、できるのは測ることです。学期や季節の変わり目に足を測り、いま履いている靴(上履きを含む)と見比べる。測った結果、買い替えないという結論もあります。

足の中の支えが気になるときの話は、インソールの記事で研究の範囲を整理しています。

足の指の付け根が赤くなる、爪の色が変わる、痛みを訴える、歩き方や足の形の左右差が気になる。こうしたときは、靴を買い替えるかどうかを考える前に、整形外科などの医療機関にご相談ください。すでに新しい靴を買ったあとでも同じです。これらは例示であり、当てはまらなくても痛みが続くときは受診をご検討ください。

よく​ある​質問

Q. 幅が広い子には、少し大きめを選んでよいですか。

長さで幅を代えることはできません。JIS S 5037:1998 も、サイズを足長と足囲(または足幅)で表すと規定しています。18の論文を整理したレビューも、幅を独立した問題として見るよう述べています(Buldt & Menz, 2018)。長さは長さで合わせ、幅は足囲(ワイズ)の表示と、履いたときのきつさで見てください。

Q. 靴の側から確かめる方法はありますか。

中敷きが外せる靴なら、抜いて床に置き、その上に立たせる方法があります。靴の内側の長さを直接見られるので、つま先の余りとかかとの位置が分かります。これも検証された方法ではありませんが、足の数字と靴の数字を突き合わせる手がかりになります。

今日できる​こと

紙とものさしで足を測り、上履きも含めて、いま履いている靴と見比べる。数字が手元にあれば、店頭で迷う時間は短くなります。

どの数字を選ぶかより、測る習慣のほうが手がかりになります。

参考文献

  1. Hughes L, Johnson MI, Perrem N, Francis P. Guidelines for Recommended Footwear for Healthy Children and Adolescents: A Rapid Scoping Review. Healthcare (Basel). 2025;13(13):1578 — DOI: 10.3390/healthcare13131578
  2. Alfageme-García P, et al. Respectful Children’s Shoes: A Systematic Review. Children (Basel). 2024;11(7):761 — DOI: 10.3390/children11070761
  3. Mueller J, et al. How to measure children’s feet. Journal of Foot and Ankle Research. 2023;16(1):21 — DOI: 10.1186/s13047-023-00618-y
  4. Kinz W, Groll-Knapp E, Kundi M. Hallux valgus in pre-school-aged children. Footwear Science. 2021;13(1):29-42 — DOI: 10.1080/19424280.2020.1853826
  5. Matthias E, Banwell HA, Arnold JB. Children’s school footwear. Gait & Posture. 2021;87:87-94 — DOI: 10.1016/j.gaitpost.2021.04.025
  6. Price C, Skidmore S, Ratcliffe J, Williams A. Children should be seen and also heard. Journal of Foot and Ankle Research. 2021;14(1):49 — DOI: 10.1186/s13047-021-00487-3
  7. González-Elena ML, et al. A Cross-Sectional Study of Foot Growth in Schoolchildren from Southern Spain. IJERPH. 2021;18(8):4031 — DOI: 10.3390/ijerph18084031
  8. Price C, Haley M, Williams A, Nester C, Morrison SC. Professional appraisal of online information about children’s footwear measurement and fit. Journal of Foot and Ankle Research. 2020;13:2 — DOI: 10.1186/s13047-020-0370-x
  9. González Elena ML, Córdoba-Fernández A. Footwear fit in schoolchildren of southern Spain. BMC Musculoskeletal Disorders. 2019;20(1):208 — DOI: 10.1186/s12891-019-2591-3
  10. Buldt AK, Menz HB. Incorrectly fitted footwear, foot pain and foot disorders. Journal of Foot and Ankle Research. 2018;11:43 — DOI: 10.1186/s13047-018-0284-z
  11. Gould N, et al. Foot growth in children age one to five years. Foot & Ankle. 1990;10(4):211-213 — DOI: 10.1177/107110079001000404
  12. JIS S 5037:1998「靴のサイズ」(1998年9月30日発行、2024年10月21日確認) — 日本規格協会 書誌ページ
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の個人に対する医学的助言・診断・治療を目的とするものではありません。体調や既往症に不安がある方は、必ず医師等の専門家にご相談ください。運動実施による結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

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